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5. DVI ドライバのインストールと設定

5.1 xdvik-18f-j1.1 のインストール

以前は日本語パッチが散在していて、作るのがややこしいと言われていた xdvi ですが、千葉大の山賀さんがパッチの取りまとめを行ってくださったお かげで、最近では非常に簡単になりました。

まず xdvik-18f の本体 xdvik-18f.tar.gz を入手します。この文書の通 りにこれまで実行してきた方はすでに手元にあるでしょう。これは通常の pTeX と一緒に配布されており、 pTeX のソース の節で示したところにあります。

山賀さんがまとめてくださっている日本語パッチは ftp://ftp.ipc.chiba-u.ac.jp/pub/pub.yamaga/ が一次配布元になっています。 97/03/19 現在は xdvik18f-j1.1p5.patch.gz が最新版のようでした。

make の手順は付属の文書に非常に丁寧に記述されています。ここでは概略の み示します。

  1. まず xdvik-18f.tar.gzxdvik18f-j1.1p5.patch.gz を適 当なディレクトリに置きます。
  2. 展開し、パッチ当てします。
    % zcat xdvik-18f.tar.gz | tar xf -
    % cd xdvik-18f/xdvik
    % zcat ../../xdvik18f-j1.1p5.patch.gz | patch -p
    
    ここで README.xdvik18f-j1.1p5.patch を良く読めば、問題無く設定と 作成が行えるはずです。以下は最も簡単な設定で行います。
  3. xdefs.make を編集し、 XDEFS の行に -DNOVFONTMAP を指定 します。こうすると日本語の使える書体が明朝とゴシックのみになります。多 書体を使いたい方は、付属の文書を良く読んでください。
  4. ディレクトリを上がって configure、 make します。
    % cd ..
    % ./configure
    % make
    
  5. スーパーユーザになってインストールします。すでに kpathseach 関係 のファイルなどが入っているので、 xdvi のみをインストールします。
    % cd xdvik
    % su
    
    # make install
    

最後に /usr/local/lib/texmf/web2c/texmf.cnfPKFONTS.xdvi セクションに、先ほど PK フォントを置いたディレクト リを追加します。私の場合は


PKFONTS.xdvi = .:/usr/share/fonts/pk//:$pkdir/$MAKETEX_MODE:

という具合にしています。

5.2 dvi2ps-j のインストール

dvi ファイルを PostScript に変換する dviware です。同じ機能を持ったも のに jdvi2kps、 dvipsk などもあります。 dvi2ps 系ではページイメージを 縮小して一枚に複数のページを印刷する nup というコマンドが付属してきま す。日本語の文字を出力する際に VFlib を利用してラスタイズまで行うこと ができ、こうすると PS プリンタ側に日本語フォントが必要なくなります。

必要なソース

dvi2ps-j 本体のソースは ftp://ftp.math.s.chiba-u.ac.jp/tex/ にあります。ファイル名は dvi2ps-2.0j-gamma.tar.gzです。

また dvi2ps で用いる virtual フォントを用意するために以下が必要です。

前者は漢字 PostScript フォントの AFM ファイルで、フォントメトリックの 情報が記述されているものです。アスキー pTeX と一緒に配布されています。 pTeX のソース の節をご覧ください。

後者は前者を用いて virtual フォントを作成するツールです。一次配布元は ftp://ftp.math.s.chiba-u.ac.jp/tex/ です。各所でミラーされているようですので archie してみてください。

dvi2ps-j のコンパイル

コンパイル作業は特に難しくありません。ソースのアーカイブを展開し、 docinstall.doc/ の指示に従って Makefile を書き換え、 make→ make install するだけです。これまでの作業によって VFlib が入っており、 これを利用する場合の作業は以下のようになります。

  1. ソースを展開します。
    % zcat dvi2ps-2.0j-gamma.tar.gz | tar xf -
    % cd dvi2ps-2.0j-gamma
    
  2. Makefile を編集します。私が変えた点は以下のようなものです。
  3. make して、スーパーユーザになってインストール
    % make
    % su
    
    # make install
    

virtual フォントを作る

virtual フォントは各種 PostScript プリンタが持っている日本語フォントの 癖を吸収するために導入されたもので、 dvi ファイルのフォントメトリック 情報と日本語 PostScript フォントの間の仲立ちをします。 VFlib と併用す る際には、最も基本的な日本語 PS フォントであるモリサワフォントのメトリッ ク情報を用いることにします。

  1. 適当なディレクトリに日本語 PostScript フォントの AFM ファイルを 展開します。例えば /usr/share/fonts/AFM-j/ などに展開するなら
    # mkdir /usr/share/fonts/AFM-j
    # zcat (somewhere)/japaneseAFM.tar.gz /usr/share/fonts/AFM-j | tar xf -
    
  2. vftools のソースアーカイブを作業ディレクトリに展開します。
    % zcat (somewhere)/vftools-1.2.tar.gz | tar xf -
    % cd vftools-1.2
    
  3. Makefile を編集します。
  4. make します。
    % make a2bk
    
    jfmvf-a2bk ディレクトリができ、その中に日本語のフォントメ トリックと virtual フォントができます。
  5. それぞれ適当なディレクトリに移動します。以下、ディレクトリ名は一 例だと思ってください。
    # mkdir /usr/local/lib/texmf/fonts/kanji
    # cp -r jfm/ vf-a2bk/ /usr/local/lib/texmf/fonts/kanji/
    

fontdesc の編集

fontdesc は dvi2ps-j で用いるフォント情報を指定するファイルです。 普通に dvi2ps-j のインストールを行った場合は /usr/local/lib/dvi2ps/fontdesc にあるはずです。指定にあたって は dvi ファイル中のフォントをラスタイズするかどうかでいくつかの選択肢 があります。

VFlib を使って日本語フォントをビットマップに展開する場合、非日本語対応 PostScript でも印刷できるようになります。ただ、私のところでは縦書きを させることができませんでした(本当はできるのかもしれません。情報 をお待ちしております)。

日本語 PostScript ファイルを印刷できる環境の場合は、漢字の情報を展開し ないで保存しておけば縦書き印刷ができます。この場合作成される .ps ファイルが小さくなるというメリットもあります。

英字フォントに関してもラスタイズしないでおくことは可能ですが、この場 合は PostScript プリンタで印刷する際に cm フォントなどの ps 版が必要 になります。

以下、私の設定例を示します。


# dvi2ps font description file for VFlib with MJ-700V2C
#
# printer spec
#
resolution 360
#
# header
#
include         dvi2.ps
#
#  configs
#
vfontcap        /etc/vfontcap
define  f       /usr/local/lib/texmf/fonts
#
# ascii font
#
font    pk      * 3     /usr/share/fonts/pk/pk360/%f.%mpk
#
# MakeTeXPK
#
define mode  bjtenex
define  gen     /usr/local/lib/texmf/fonts/tmp/pk/$mode
font    pk      * 0     $gen/%f.%mpk
font    func    * 0     \
        !pre(dm),!pre(dg),!pre(min),!pre(goth),!pre(tmin),!pre(tgoth),\
        exec(/usr/local/bin/MakePK %f %m %R %M $mode $gen),\
        pk($gen/%f.%mpk)
#
# kanji font
#
#  for VFlib kanji of ASCII Nihongo TeX
#  First, convert ASCII dvi -> VFlib kanji dvi by virtual font
#
font    jvf     * 0     $f/kanji/vf-a2bk/%f.vf
#
#  Use VFlib Kanji Metrics
#
font    jfm     * 0     $f/kanji/jfm/%f.tfm
#
# VFlib mapping
#
map     rml     JSNR    ^r-microsoft-mincho
map     gbm     JSNR    ^r-microsoft-gothic
map     ryumin-l        JSNR    ^r-microsoft-mincho
map     gtbbb-m         JSNR    ^r-microsoft-gothic
#
# If PS printer have Morisawa-Kanji
#
#map    rml     JSNR    Ryumin-Light-H
#map    gbm     JSNR    GothicBBB-Medium-H
#map    rmlv    JSNR    Ryumin-Light-V
#map    gbmv    JSNR    GothicBBB-Medium-V
#map    ryumin-l        JSNR    Ryumin-Light-H
#map    gtbbb-m         JSNR    GothicBBB-Medium-H
#map    ryumin-l-v      JSNR    Ryumin-Light-V
#map    gtbbb-m-v       JSNR    GothicBBB-Medium-V

5.3 dviprt のインストール

MS-DOS では非常にポピュラーだった dviware です。 Unix 用には 2.43.3c というテスト版があり、少々の変更で Linux でも動くようになります。 またある意味で VFlib の元になったプログラムであるため、 TrueType フォ ントの使い方はほとんど同じで、 VFlib のインストール の作業を行っていれば設定ファイルを書くだけで TrueType フォントが利用で きるようになります。縦書きにも対応しています。

コンパイル

ソースは ftp://akagi.ms.u-tokyo.ac.jp/pub/TeX/dviout/test/t2433csr.tar.gz にあります。これを適当なディレクトリに置いたところから作業を始めます。

  1. ソースを展開します。
    % mkdir dviprt
    % cd dviprt
    % zcat ../t2433csr.tar.gz | tar xf -
    
  2. Makefile を編集します。
  3. make すると、dviprt がカレントディレクトリに出来上がりますので、 これを /usr/local/bin に手動でインストールしてください。

環境設定

環境設定に関しては DOS の dviprt とほとんど同じです。 まずプリンタ用のコンフィグレーションファイルを手に入れる必要があります。 DOS 用のものが Vector Design のライブラリ にありますので、ここから取ってくるのがわかりやすいと思います。 必要なファイルが入っているアーカイブは

です。 それぞれ展開して、 utils/files.utl というファイルを読めば、目 的のプリンタに対応したコンフィグレーションファイルが見付かると思います。 utils/cfg/ というディレクトリにあるはずです。

ちなみに Epson の MJ-700V2C には mj_360.cfg、 HP の LaserJet IIIp には hp_ljp.cfg というファイルを使いました。

これを /usr/local/lib/texmf/ にコピーし、次いで設定ファイルを 二つ作ります。 dviprt.pardviprt.vfn が必要になります。 雛形は上記アーカイブの utils/par/ にあります。これらを EUC コー ドに変換し、行末を CRLF → LF にして

にコピーします。

dviprt.par を編集します。上記ファイルには詳細なコメントが入っています ので、おそらくそれを見ながら設定できると思います。ちなみに私の手元のも のを、コメントを全部とった形でのせておきます。


TEXPK=/usr/share/fonts/pk/pk360/%s.%dpk;/usr/local/lib/texmf/fonts/public/ptex/tfm/%s.tfm
-p=omj_360.cfg
-LM=2.6mm
-TM=8.5mm
-vfn+

それぞれ

TEXPK

欧文 pk フォントと日本語のフォントメトリックファイルの位 置を指定

-p

プリンタを指定。標準でサポートされているもの以外は =o(cfgファイル) という文法を用いる。

LM, TM

プリンタ上部、左部の印刷不能領域の設定。

-vfn+

TrueType フォントを使う指定

を指定しています。なお、元のファイルにある
-=common.par

の行はコメントアウトしてしまって大丈夫です。

次いで dviprt.vfn を編集します。これもコメントの通りでほぼ大丈夫だと思 います。同様に私の手元のものをのせます。


%version = 2
%vfont_list
 1,            /usr/share/fonts/TrueType/msmincho,        1000, 1000,   0
 2,            /usr/share/fonts/TrueType/msgothic,        1000, 1000,   0
%jfm_list
 min,      1,  a, a, n40, 100;0;0,      ,     ,     0
 goth,     2,  a, a, n40, 100;0;0,      ,    1,     0
 tmin,     1,  a, a, n40, 100;0;0,      ,     ,     0
 tgoth,    2,  a, a, n40, 100;0;0,      ,    1,     0


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