次のページ 前のページ 目次へ

IIJ Anonymous UUCP との接続
宇高 雅佳(KFF01402@niftyserve.or.jp, utaka@ace.yk.fujitsu.co.jp) 著
1994/7/24 版

  この文書では、Internet Initiative Japan Inc.殿(以下 IIJ と略)でサービス
されているAnonymous UUCPを利用するための簡単な設定、使用方法を記述してい
ます。この文書の内容は Anonymous UUCPを利用すること*のみ*を考えているため、
他のシステムとのUUCP接続をするには場合には、よく参考文献などをお読み下さい。

0) はじめに

  この文書は、slackware-1.2.0.3 (UNIX USER誌付録)を基に記述しなおしました。
また使用したモデムは、マイクロコア社の MC14400FXです。使用するモデムによる
違いは付録にまとめてあるので、参考にして下さい。

1) UUCPのセットアップ

  UUCPの設定ファイル群は「/usr/lib/uucp/hdb_config」配下にあります。以下の
記述は hdb_config 配下で行なって下さい。設定するファイルは、Devices, Dialers, 
Permissions, Systems の 4つです。

 *注意*  SLS-1.03では、UUCPの設定ファイル群は「/usr/lib/uucp」配下にあります。

  - Devices の設定

     1. 雛型ファイル Devices.exをコピーして、Devicesファイルを作る。

        ”cp Devices.ex Devices”

     2. Devicesファイルに、以下の記述を追加する。

        「ACU cua1 - 19200 scout」という行をコメント(先頭に#を付ける)して、
        「ACU cua1 - 38400 mc144fx」という行を追加する。ここで、38400はDTE
        速度です。各自のモデムにより設定値は違いうので、マニュアルを参照し
        てください。

  - Dialers の設定

     1. 雛型ファイル Dialers.exをコピーして、Dialersファイルを作る。

        ”cp Dialers.ex Dialers”

     2. Dialersファイルに、以下の記述を追加する。

       「mc144fx =,-,    "" \dATZ\r\c OK\r \EATDT\T\r\c CONNECT」

  - Permissions の設定

     1. 雛型ファイル Permissionsをコピーして、Permissionsファイルを作る。

        ”cp Permissions.ex Permissions”

     2. Permissionsファイルに、以下の記述を追加する。

        MACHINE=iijnet LOGNAME=nuucp \  
        READ=/usr/spool/uucppublic \    
        WRITE=/usr/spool/uucppublic \   
        SENDFILES=yes REQUEST=yes \     
        COMMANDS=/bin/rmail:/usr/bin/uux

  - Systems の設定

     1. 雛型ファイル Systems.exをコピーして、Systemsファイルを作る。

        ”cp Systems.ex Systems”

     2. Systemsファイルに、以下の記述を追加する。(1行で記述してください)

       「iijnet Any ACU 38400 0990-6-03781 "" \r\c 
                        ogin:-BREAK-ogin:-BREAK-ogin: uucp」

 *注意* もし,XXXX.exという雛型ファイルが無いのなら、コピーせずに直接ファ
        イルを作成し,上記の記述をしても問題は無いはずです。

2) 接続確認

  設定を済ませたら、以下のコマンドを実行して接続できるかどうか確認しまし
ょう。コマンドは、rootでなくても実行できます。

        ”/usr/lib/uucp/uucico -r 1 -x 9 -s iijnet”

確認方法は、

        ”/var/spool/uucp/.Log/uucico/iijnet”

にあるログで確認してください。(iijnet は Systemsファイルに記述したタグです)
最後が「Call complete (XX seconds)」となっていれば成功です。

 *注意* SLS-1.03では、”/usr/spool/uucp/.Admin/audit.local”にログがあり
        ます。

  成功すれば、いよいよファイルをコピーしてきましょう。以下のコマンドを実
行してみて下さい。成功すれば、tmpに READMEと言うファイルがあるはずです。

        ”uucp iijnet\!~/README /tmp/README”

  この READMEには IIJの Anonymous UUCPの概要が書かれているので、よく読ん
でください。


3) 具体例

 *注意* 以下の記述は IIJ の Anonymous UUCP のディレクトリィに依存します。
        ディレクトリィの構成が変更された場合には、変更に応じてファイル名
        を記述してください。

  例として、dosemu0.52をコピーしてきてみましょう。まず、IIJ の Anonymous 
UUCPサービスの構成を把握するため、Index ファイルをコピーします。

        ”uucp iijnet\!~/Index /tmp/Index”

とタイプすると、/tmp に Index というファイルができます。このファイルをless
等で見てみると、どんなものが置いてあるのか見当がつきます。:-) Linuxに関係
ありそうなのは linuxと linux-j というサブディレクトリィですね。そこで、
linux と linux-j配下には、どんなファイルが置いてあるか書いてある ls-lR.Zを
コピーしましょう。

        ”uucp -r iijnet\!~/linux/ls-lR.Z /tmp/linux_ls-lR.Z”
        ”uucp iijnet\!~/linux-j/ls-lR.Z /tmp/linux-j_ls-lR.Z”

とタイプしてください。今度は /tmpに linux_ls-lR.gzと linux-j_ls-lR.gzとい
うファイルができます。(-r をつけて uucpを起動し、最後の uucpだけ -rをつけ
ないようにすると、実際の接続は 1回で済みます。詳しくは"man uucp"で)
幸いにも、linux_ls-lR.Zの中から linux/ALPHA/dosemu/dosemu0.52.tgz という
ファイルが見つかりました。最後に、この dosemu0.52.tgzをコピーします。

        ”uucp iijnet\!~linux/ALPHA/dosemu/dosemu0.52.tgz /tmp/dosemu0.52.tgz”

        * 上記のコマンドは一行で書いてください。

とタイプすれば、/tmp に dosemu0.52.tgzがコピーされています。

3) ちょっとだけ説明

  今回の設定に仕方は、BNU とコンパチビリティな設定方法です。何故?それは筆
者が BNUの設定をしたことがあるからと,UUCP-HOWTO も BNU形式での設定方法が記
述されていたからです。:-)
  さて,設定ファイルの*さわり*程度ですが説明をしておきます。興味を持たれた
り、より高度な使い方を目指す人は、参考文献を読まれることをお進めします。

さて,肝心の説明です。

  Devicesファイル
        このファイルは、デバイスの設定を記述します。

        ACU    :  接続のタイプ。モデムの場合は、ACU を指定します。
        cua1   :  使用するデバイスを指定します。
        -      :  ダイアラポート。- を指定します。
        38400  :  デバイスの速度を指定します。
        mc144fx:  使用するダイアラを指定します。通常 Dialersファイル内のエ
                  ントリを指定します。

  Dialersファイル
        このファイルは、モデムにコマンドを発行して相手システムにコネクト
        するまでの手順を記述します。

        mc144fx:  ダイアラ名を指定します。Devicesファイルから参照されます。
        =,-,   :  発信音待ちの = と、ポーズの - を指定します。
        "" 以降:  上記の記述で、""以降がモデムに発行するコマンド等を指定
                  するフィールドです。今回の記述がどう動くか解説すると、
                  モデムからの反応待たないで、ATZ+改行を送り、OKという文
                  字列が返ってくると,ATDT+電話番号+改行を送り,CONNECT
                  という文字列が返ってくると正常終了します。

  Permissionsファイル

        MACHINE  :自システムが呼び出せるシステム名と条件を指定する。
        LOGNAME  :自システムにログインするときに使えるログインIDを指定す
                  る。
        READ     :uucicoが呼み出すことのできるディレクトリィを指定する。
        WRITE    :uucicoが書き込むことのできるディレクトリィを指定する。
        SENDFILES:ローカル・キューのなかのファイルを送信できるかどうか
                  指定します。
        REQUEST  :相手システムから自システムへファイル転送できるかどうか
                  指定します。
        COMMANDS :相手システムが自システムで実行できるコマンドを指定する。

  Systemsファイル
        このファイルは、接続する相手システムの情報を記述します。

        iijnet:  システム名を指定します。このシステム名を使って、uucp
                 コマンド等を実行します。
        Any   :  このエントリを使用できる期間/時間を設定します。Anyは何
                 時でも使用できることを表します。
        ACU   :  使うデバイスを指定します。Devicesファイルを参照します。
        38400 :  デバイスの速度を指定します。
        0990-6-03781:  接続する相手システムの電話番号を記述します。
        ""以降:  ""以降が、相手システムに接続してからの手順を記述してい
                 ます。上記の記述は、モデムからの反応待たないで、1度改行
                 を送り、ogin: という文字列にが来れば uucpを送り,ogin: 
                 という文字列が見つからなければ、BREAK信号を送るという手
                 順を2回します。

4) おわりに

  筆者も初心者の域を出ないため、誤記、間違いをしている可能性が高いです。
もし、何か指摘すべき点がありましたら、教えてください。もちろん、誤字脱字
の指摘もお願いします。

5) 参考文献

        UUCP-HOWTO       FUNIX LIB13 #42
        Serial-HOWTO     FUNIX LIB13 #43
        UUCPシステム管理 アスキー出版
        InternetとUUCP   UNIX MAGAZINE 1993.7 p.71-79

6) 付録

        マイクロコア社 MC14400FX の ATコマンドの一部です。

        ・ATZ      :モデムを初期化します。
        ・ATDTxxxx :トーンダイアル(プッシュ回線)で以降に続く電話番号xxxx
                     にダイアルします。

<EOF>

次のページ 前のページ 目次へ